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相続コラム

「相続放棄の申述の受理」件数は26万497件で過去最高-相続放棄を解説します

2024-04-09
相談コラム

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかどとしや)です。

2022年の司法統計年報によると、全国の家庭裁判所で受理された「相続放棄の申述の受理」件数は26万497件で過去最高となりました。直近数年間の受理件数の推移をみると、年々増加傾向にあります。

そこで、今回は相続放棄について解説します。

●相続放棄とは「すべての財産を相続しないこと」

相続放棄とは、亡くなった人のすべての財産について相続しないことをいいます。

たとえば、預貯金や不動産は相続するけれど借金は相続しない、といったように財産の一部だけを放棄することはできません。

また、相続放棄をするには、家庭裁判所での手続が必要となります。

家庭裁判所に相続放棄の申述をして受理されると、亡くなった人の相続に関して、初めから相続人とならなかったものとみなされ、相続放棄が可能となります。

相続放棄の申述が受理されると、負債などマイナスの財産を相続しなくてもよくなりますが、プラスの財産も相続できなくなってしまいます。

相続放棄をする場合は、事前に亡くなった人にどのような財産があるのかを調べておくことも大事です。

相続放棄をする場合、亡くなった人の預貯金を解約したり、負債の一部を返済したりしてしまう(「単純承認」といいます)と、家庭裁判所において相続放棄が認められない場合がありますので注意してください。

●相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3箇月以内」に

相続放棄の申述ができる期間は民法915条1項により「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3箇月以内」となります。

亡くなった人の財産の状況がわからず、調査に時間を要する場合などは、家庭裁判所に相続の放棄の期間の伸長の申立てを行うことで、家庭裁判所が認めた期間まで手続の期限を伸長できます。

ただし、この申立ても「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3箇月以内」に行う必要がありますので注意してください。

まずは「相続放棄申述書」を家庭裁判所に提出します。

相続放棄をする場合は、亡くなった人(被相続人)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続を放棄する」旨の相続放棄申述書を提出します。

その際、添付書類として、亡くなった人の住民票除票(または戸籍の附票)や死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本、相続放棄をする人の戸籍謄本などが必要となりますので、市役所等で取得しておきましょう。

添付書類については、相続放棄をする人によって、さらに必要となる書類がある場合がありますので、家庭裁判所のホームページ(www.courts.go.jp)でご確認ください。

相続放棄をすれば終わり、ではありません。

相続放棄の申述が受理されれば、相続放棄をした人は初めから相続人とはならなかったものとみなされ、相続権は後順位の相続人に移ります。

しかし、家庭裁判所から後順位の相続人に対して、“先順位の相続人の相続放棄の申述が受理され、それにより後順位の相続人が相続人となった”と通知することはありません。

そのため、相続放棄をした人は、後順位の相続人にその旨を知らせるなどする必要があるかもしれません。

なぜなら、後順位の相続人が亡くなった人の財産について管理を始められるようになるまで、相続放棄をした人は自分の財産と同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない(民法940条1項)と定められているからです。

相続放棄をすれば終わり、ではないことを覚えておいてください。


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